事故態様や事故後の行動が悪質な場合に、慰謝料の金額が、基準額を超えて認定されることがあることについてお話をします。
裁判所における被害者が死亡した場合の慰謝料の金額の認定について、事故の態様が悪質な場合や、事故後に反省が見られない場合、慰謝料額が高額となる傾向にあります。
例えば、加害運転手による飲酒運転や赤信号無視や、危険運転など事故の態様が極めて悪質である場合や、事故後にひき逃げや罪証隠滅した場合で根拠のない責任逃れをするような言動が見受けられる場合など反省が認められない場合が挙げられます。
被害者側からすれば、そのような事情は絶対に許されませんし、賠償額が高額となるのも当然のことだと思います。
このような事例としては、高速道路に渋滞で停止中の車両に、常習的に飲酒運転をしていた加害運転手が追突し、炎上し、車両の後部座席に座っていた女子2人(3歳と1歳)が死亡したという交通事故の事案において、被害者それぞれについて3400万円ずつの慰謝料を認定した事案が有名です(東京地判平15.7.24) 。
また、5歳男子が車道運転中に発生した交通事故が発生した事案で、事故現場から一旦離れた加害運転手が、当日警察に出頭したものの、事故を発生させたことを認識しながら事故現場から逃走したこと、刑事事件において道路交通法上規定されている報告義務及び救護義務の各違反について否認をしたことなどをあげて慰謝料として3000万円を認めた事例などがあります(東京地判平成24.7.18)
上記の2事例は、通常の慰謝料の相場よりも高額な金額が認められています。
このように事故態様や事故後の行動が悪質な場合は、請求する側で、しっかりと上記のような事情を主張・立証して、裁判官に理解を求める必要があると考えられます。