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遷延(せんえん)性意識障害③

遷延(せんえん)性意識障害とは、主に交通事故などを原因とする頭部外傷等によって昏睡状態に陥り、開眼できるようになったものの、意思疎通が完全に喪失した身体状態となってしまった場合の後遺障害をいいます。

交通事故により遷延性意識障害後遺障害が発生してしまった被害者については、介護を行う近親者の負担が極めて重くなることが多く、将来介護費等について手厚い保証がなされるべきであり、そのために我々も努力を行っています。

本日は、遷延性意識障害後遺障害が発生した事案について、近時の裁判例(札幌地判令和3年8月26日判決)をご紹介します。

この裁判例は、19歳の男子大学生が片側2車線道路の第2車線を自動二輪車で走行中、道路左側の路肩から転回してきたタクシーに衝突された事故について、後遺障害(遷延性意識障害)について自賠責1級1号が認定された事例です。

この事案は、将来的に施設入所や医療機関への入院・短期入所の検討、介護福祉士の資格を有する姉が将来的に同居する可能性があるなど将来の介護状況が流動的であると考えられるものの、将来介護費については、後遺障害の内容及び程度並びにそこから必要と考えられる介護の内容に照らすと、症状固定時から平均余命に至るまで、自宅において職業介護を主とし、近親者介護を補助的・部分的に行う事を前提に将来介護料を算定するのが相当であるとして、将来介護と近親者介護を併せて2万円(年額730万円)の介護料を認めるのが相当であると判示されました。

また、後遺障害逸失利益については、被害者は事故当時大学2年生であったことから、賃金センサス男性大卒全年齢平均に従って、基礎収入を662万6100円として計算するとして、症状固定時の年齢23歳から就労可能年齢67歳までの44年間につき100%の労働能力喪失で認定されました。

さらに、1級1号遷延性意識障害を残す19歳男子大学生の慰謝料算定につき、傷害慰謝料を520万円、後遺障害慰謝料については2800万円、両親の親族固有の慰謝料については各400万円と認定しました。

本判決は、遷延性意識障害後遺傷害が発生した場合の介護状況については、事故直後は介護方針が具体的に決まっておらず、ご家族の負担から流動的なことが多いですが、そのような場合でも一定の将来介護料を認定されているもので、評価されると考えられます。

詳しくは弁護士にご相談下さい。

この記事を書いた人

弁護士法人TRUTH&TRUST

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