交通事故で受傷した被害者を介護する必要がある場合、付添人を依頼するための費用(付添看護費)が損害として請求をすることができます。
そして、かかる付添看護費については、①入院時及び通院期間中の看護費(入通院付添看護費)と、②症状固定後に後遺障害の残った場合(将来看護費)の2つに区分されます。
そして、将来介護費(②)については、これまでは自賠責保険後遺障害における別表1の1級ないし2級のような高度の後遺障害が発生し、要介護状態にある場合に認められてきました。
しかし、上記の等級までいかなくとも、例えば高次脳機能障害の被害者などは、介護の必要性が認められ、将来介護費が認められる場合があります。
すなわち、高次脳機能障害の被害者の場合、身体的な機能について特段支障はなく、付添人による身体介護の必要性が少ない場合でも、人格変化が発生してしまい、社会生活や日常生活がうまくできず、家族による見守りや声掛け等の介助が必要となる場合があるからです。
この点、名古屋地判平成23年9月16日判決は、61歳男性マンションの管理人の後遺障害(高次脳機能障害5級2号)の事案について、身体的な機能については特段に支障はなく、身体的な介護をする必要はないものの、高次脳機能障害により人格変化が生じているため、日常生活の上でも見守り、声掛けをする必要があるなどして、平均余命まで日額4000円の将来の付添看護費が認めています。
また、名古屋地判平成25年3月19日判決は、8歳男子小学生の後遺障害(高次脳機能障害5級2号)につき、随時声掛け、看視が必要として、平均余命まで日額3000円の将来付添看護費が認められています。
さらに、名古屋地判平成25年3月12日判決は、7歳男子小学生の後遺障害(高次脳機能障害5級2号、耳鳴り12級相当、併合4級)の事案について、声掛けや見守りが必要であるとして、母親が満67歳になるまで36年間につき日額3,000円、その後平均余命までは職業介護を前提に日額7000円の将来付添介護費が認められています。
但し、将来介護費については、平均余命までにわたり請求することから請求額も高額となることが多く、示談交渉や訴訟上、シビアな争いとなり積極的な主張立証が必要となります。また特に高次脳機能障害の患者様は見た目では分かりませんので、身近なご家族やご親族でないと、介護の必要性は分からないこと多いです。
そこで声掛けや見守りなど介護に必要性については、介護者である親族の作成による陳述書を詳細に作成して、介護の必要性を立証していくことが重要となっています。
詳しくは弁護士に相談して下さい。