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家屋の改造費①

交通事故により重度の後遺障害が残存した場合、被害者が日常生活上生ずる困難をできる限り少なくし、介護をするご家族の負担をできるだけ少なくするため、障害者向け住宅のような構造に家屋を改築したり、移動に便利なようにバリアフリーや、介護をしやすくするため介護用リフトを設置することが必要となる場合があります。

また、車両を車椅子仕様にするために費用をかけて車両を改造する場合もあります。

ではこのような場合に、住宅や車両の改造費の請求は認められるのでしょうか。

今回は、障害者用設備を備えた建物を新築するような場合をお話したいと思います。

 

家屋の改造費について、裁判例においては、現実に購入、改造するために必要な金額をもって損害額とされますが、改造の必要性や支出額の相当性(不当に高級仕様となっていないか等)について吟味されることになります。

また、被害者以外の家族が、家屋の改造により事実上利益を享受すると認められる場合は、現実に支出された費用額の一部に限定して賠償が認められる例もあります。

ここで住居の新築の場合として、神戸地判平13年7月4日判決があり、被害者が41歳主婦(頚部以下の完全麻痺、1級3号)である事案で、旧家屋は古く構造上も改造が無理であるため、障害者用設備を備えた建物を新築するのが相当として、その自宅建築費として直接的な障害者用仕様の工事費及び建物全体の新築費のうち障害者用仕様部分に関係する費用を合算した金額について認めた例があります。

また、名古屋地判平成19年10月16日は、被害者が21歳男性会社員(遷延性意識障害等、1級3号)の事案で、現在居住する住宅は県営住宅で改造が不可能であるとし、住宅改造費として、事故以前から計画を立てていた姉の家族との2世帯住宅の建築を前提に、介護リフトも含めて介護仕様住宅の建築費用と、通常仕様住宅の建築費用の差額約1000万円が認められた例もあります。

改造費用は高額になることが多く、裁判においても原告・被告間において激しい攻防が繰り広げられることがままあります。

単に改造の見積書を提出するにとどまるのではく、改造の必要性や支出額の相当性を立証する証拠をしっかり提出するなどして主張・立証を行う必要があると考えられます。

 

この記事を書いた人

弁護士法人TRUTH&TRUST

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