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高次脳機能障害とは

INDEX

    高次脳機能障害と症状

    高次脳機能障害は、交通事故によって脳に損傷を受けた被害者が、治療の結果外見上は回復しているのに、記憶障害、注意障害、社会的行動障害、遂行機能障害等が発生し、事故前と比較して人格や性格に変化をきたし、あるいは記憶保持等の知的側面にも異常があるため就労ができず、日常生活でもトラブルになる等の症状があげられます。

    記憶障害

    事故前の記憶はあるのに、事故後に新しく経験した記憶はすぐになくなってしまうことや、反対に事故後の記憶はあるのに、事故前の記憶を失ってしまうことがあります。 また、家に帰る道順を忘れてしまう(長期記憶障害)、食事をしたか等直前の記憶を忘れてしまう(短期記憶障害)等の症状が出ることがあります。

    注意障害

    ぼんやりしてしまい、作業ができないことや作業を持続させる集中力や持久力がなくなってしまうことがあります。

    社会的行動障害

    感情をコントロールすることができず、怒りを爆発させてしまったり、コミュニケーションを図ることが困難になってしまうことがあります。

    遂行機能障害

    料理の段取りや掃除の段取りなど、目標を決めて計画し、手順を考えつつ実施して、結果を確認することができなくなってしまうことがあります

    人格変化

    事故前にはなかった感情易変、不機嫌、攻撃性、暴言・暴力、幼稚、羞恥心の低下、多弁、自発性・活動性の低下、病的嫉妬、妬み、被害妄想などの症状が認められることがあります。

    後遺障害の等級と認定基準及び慰謝料の目安

    高次脳機能障害

    等級認定基準慰謝料の目安
    1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
    • 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
    2800万円
    2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
    • 著しい判断力の低下や情緒の不安定などがあって、一人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に家族からの声かけや看視を欠かすことができないもの
    2370万円
    3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
    • 自宅周辺を一人で外出できるなど日常の生活範囲は自宅に限定されておらず、また声かけや、介助なしでも日常の動作を行えるが、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力等に著しい障害があり、一般就労が全くできないか、困難なもの
    1990万円
    5級2号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    • 単純繰り返し作業などに限定すれば一般就労も可能であるが、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業が継続できなくなったりする問題が生じ、このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
    1400万円
    7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外に労務に服することができないもの
    • 一般就労を維持することができるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないことをいいます。
    1000万円
    9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの
    • 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業維持力などに問題があることをいいます。
    690万円

    等級認定のためのポイント

    高次脳機能障害の等級認定にあたっては、頭部外傷後の意識障害の所見、後遺障害診断書、頭部の画像検査資料(レントゲン写真、CT、MRI)、医師や家族によって記載された精神症状についての具体的所見等を提出します。但し人格変化などは身近な家族でないと分からないことから、被害者に現れた具体的な日常の症状を報告書に詳細にまとめて提出することも有用です。

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