眼の後遺障害と症状
眼の後遺障害は大きく眼球の障害とまぶたの障害に分類されます。 眼球の障害には、視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害があり、まぶたの障害には、欠損障害と運動障害があります。 交通事故によって眼に後遺障害が残るケースとしては、割れたガラスにより眼球やまぶたを切ってしまうなど、眼そのものに対する外傷のほか、頭部外傷等により動眼神経麻痺が残るといったケースがあります。
視力障害
眼球の外傷や視神経の損傷により視力が低下した場合、視力低下の程度に応じて等級が認定されます。等級認定に当たり考慮される視力は裸眼視力ではなく、原則として矯正視力となります。
調節機能障害
調節力とは、明視できる遠点から近点までの距離的な範囲をレンズに換算した値で、単位はジオプトリー(D)です。 原則として、調節力が通常の場合の1/2以下に減じた場合に、後遺障害等級認定の対象となります。
眼球の運動障害
眼球を動かす筋肉は、各眼3対、すなわち合計6種類あるのですが、この6種類の筋肉の1個あるいは数個が麻痺した場合に、麻痺した筋肉の働くべき方向において眼球の運動が制限されることとなります。その結果、注視野が狭くなったり複視といった症状が生じます。注視野や複視の程度により後遺障害等級が認定されます。
視野障害
視野とは、眼前の1点を見つめているときに、同時に見ることのできる外界の広さのことをいいます。外傷性網膜剥離等により、視野欠損が生じた場合などに、その程度により後遺障害認定されます。
まぶたの欠損障害
まぶたに裂傷を生じた場合などにまぶたの欠損が残存することが予想されます。普通にまぶたを閉じても、角膜を覆いきれない場合などに後遺障害認定されます。
まぶたの運動障害
まぶたの運動障害は、顔面や側頭部の打撲などにより視神経や外眼筋を損傷した場合に発症します。まぶたを開いても瞳孔をを完全に覆ってしまう場合や、まぶたを閉じても角膜を完全に覆い得ない場合に後遺障害認定されます。
後遺障害の等級と認定基準及び慰謝料の目安
視力障害
等級 | 認定基準 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
1級1号 | 両眼が失明したもの | 2800万円 |
2級1号 | 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの | 2370万円 |
2級2号 | 両眼の視力が0.02以下になったもの | 2370万円 |
3級1号 | 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの | 1990万円 |
4級1号 | 両眼の視力が0.06以下になったもの | 1670万円 |
5級1号 | 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの | 1400万円 |
6級1号 | 両眼の視力が0.1以下になったもの | 1180万円 |
7級1号 | 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの | 1000万円 |
8級1号 | 一眼が失明し、または一眼の視力が0.02以下になったもの | 830万円 |
9級1号 | 両眼の視力が0.6以下になったもの | 690万円 |
9級2号 | 一眼の視力が0.06以下になったもの | 690万円 |
10級1号 | 一眼の視力が0.1以下になったもの | 550万円 |
13級1号 | 一眼の視力が0.6以下になったもの | 180万円 |
等級認定のためのポイント
眼球やまぶたそのものに外傷がない場合は因果関係が問題となることが多いです。事故後できる限り早期に専門医を受診し、検査をしてもらうことが重要となります。
調節機能障害
等級 | 認定基準 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
11級1号 | 両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの | 420万円 |
12級1号 | 一眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの | 290万円 |
等級認定のためのポイント
眼球やまぶたそのものに外傷がない場合は因果関係が問題となることが多いです。事故後できる限り早期に専門医を受診し、検査をしてもらうことが重要となります。
眼球の運動障害
等級 | 認定基準 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
10級2号 | 正面を見た場合に複視の症状を残すもの | 550万円 |
11級1号 | 両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの | 420万円 |
12級1号 | 一眼の眼球に著しい運動障害を残すもの | 290万円 |
13級2号 | 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの | 180万円 |
等級認定のためのポイント
眼球やまぶたそのものに外傷がない場合は因果関係が問題となることが多いです。事故後できる限り早期に専門医を受診し、検査をしてもらうことが重要となります。
視野障害
等級 | 認定基準 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
9級3号 | 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの | 690万円 |
等級認定のためのポイント
眼球やまぶたそのものに外傷がない場合は因果関係が問題となることが多いです。事故後できる限り早期に専門医を受診し、検査をしてもらうことが重要となります。
まぶたの欠損障害
等級 | 認定基準 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
9級4号 | 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの | 690万円 |
11級3号 | 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの | 420万円 |
13級4号 | 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの | 180万円 |
14級1号 | 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの | 110万円 |
等級認定のためのポイント
等級認定にあたっては、症状固定時に作成される後遺障害診断書により判断がなされます。
傷の状態から、後遺障害の認定手続を行う時期等がポイントになる場合があります。
また醜状部分の写真なども添付して立証します。
まぶたの運動障害
等級 | 認定基準 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
11級2号 | 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの | 420万円 |
12級2号 | 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの | 290万円 |
等級認定のためのポイント
等級認定にあたっては、症状固定時に作成される後遺障害診断書により判断がなされます。
主治医により運動の障害の程度等について詳細に記載をいただく必要があります。
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※ 後遺障害1級 遷延性意識障害の事案
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