神経系統の機能・精神の後遺障害と症状
交通事故により脳挫傷や頭蓋骨骨折が発生した場合の後遺障害として、高次脳機能障害以外で代表的な症例として外傷性てんかんがあげられます。
また、せき髄を損傷することにより麻痺が残存し、重大な後遺障害となることもみられます。
外傷性てんかん
外傷性てんかんは、脳外傷で脳の実質部に残された瘢痕から発せられる異常な電気的信号に周辺の正常な脳神経細胞が反応して大騒ぎしている状態をいいます。
発作には大発作、焦点発作、精神運動発作がありますが、発作を繰り返すことにより、周辺の正常な脳神経細胞も傷つき、これにより性格変化や知能低下の精神障害をきたし、高度になると痴呆・人格崩壊に至ることもある深刻な障害です。
せき髄損傷
せき髄は脳と同様に中枢神経に分類されます。せき髄に損傷が生じると、その損傷された部位より下方向には脳から指令が伝達されなくなります。
そのため運動麻痺や感覚の麻痺、自律神経、排尿、排便の障害などの様々な障害が発生します。
後遺障害の等級と認定基準及び慰謝料の目安
外傷性てんかん
等級 | 認定基準 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい、常時介護を要するもの 例
| 2800万円 |
2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい、随時介護を要するもの 例
| 2370万円 |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないこと 例
| 1990万円 |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に簡易な労務以外の労務に服することができないこと 例
| 1400万円 |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、簡易な労務以外の労務に服することができないもの 例
| 1000万円 |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの 例
| 690万円 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの 例
| 290万円 |
等級認定のためのポイント
定期的に実施される脳波検査の結果やてんかん発作の程度等を後遺障害診断書に記載していただきます。なお、てんかん発作に伴い、知能低下・性格変化・人格変化をきたすことがありますが、この場合は高次脳機能障害での等級の認定に移行することになります。
せき髄損傷
等級 | 認定基準 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい、常時介護を要するもの 例
| 2800万円 |
2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい、随時介護を要するもの 例
| 2370万円 |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないこと 例
| 1990万円 |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に簡易な労務以外の労務に服することができないこと 例
| 1400万円 |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、簡易な労務以外の労務に服することができないもの 例
| 1000万円 |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの 例
| 690万円 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの 例
| 290万円 |
等級認定のためのポイント
麻痺を裏付ける損傷部分についてのMRI、CT画像等の画像所見により立証をしていくことになります。
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